齋藤 悠紀 絵画展

ー見るなの座敷ー

「抜け目白」 雁皮紙にペン、テンペラ、紬 F6
「抜け目白」 雁皮紙にペン、テンペラ、紬 F6

7月11日(水)~7月17日(火)

10:30-20:00(最終日18:00まで)

銀座三越7F=ギャラリー

  

「雉の間」ガラス絵、金箔、紬 10.3x15.1cm (ガラスサイズ)
「雉の間」ガラス絵、金箔、紬 10.3x15.1cm (ガラスサイズ)

 

 男がいつもの山道で見慣れぬ屋敷を見つけ、そこで一人の女に出会います。女は男を歓迎してくれた後、屋敷のどの襖を開けて座敷を見てもいいが、とある座敷だけは決して見ないで欲しい、と言い残し男に留守を任せます。男は暇に任せて次々に襖を開けます。そのたびに春夏秋冬様々な自然美が、眼前の座敷いっぱいに広がります。驚嘆しつつもそれを心ゆくまで堪能する男でしたが、最後には、女から見るなと禁止された座敷までも開けてしまいます。その瞬間、気づくと屋敷は消え失せ、いつもの山道で呆然と立ち尽くしていました。男の頭上を一羽の鶯が飛び去ります。

 これは、儚くも美しい「見るなの座敷」という、日本の昔話です。

 私はこの昔話の中でも特に、襖が持つ特徴を象徴的に描いている点に興味を持ちました。それは曖昧な気配の区切りを得意とするしつらえのことです。プライベート空間をがっちりと保証するかのような、西洋の頑丈で分厚い扉や窓と比べてみると、その特色がよく分かります。襖は間仕切りでありつつも、衣擦れや足音などの、向こう側の気配を断絶しません。他にも、例えば屏風もその場限りの境界を生じさせます。障子であれば影が向こうの存在をぼんやりとこちらへ伝えてくれます。

 集団や自然に調和する方向を好み、良くも悪くも「強烈な個」という自我を持ちづらい、日本人の意識にこの境界の曖昧さがぴったりと合っていた為に、語り継がれてきたのではないかと思いました。

 空想や現実、今昔などが、薄い間仕切りひとつスライドすれば、すぐに目の前に広がるという万能感。これは、現代人にとってすっかり当たり前になったネット検索、SNSにも通じるものだと言えるでしょう。

 以上のテーマを、ペン画やガラス絵、銅版画を中心とした細密な絵画で表現した個展を開催いたします。銀座三越では初の個展です。

「雪の舟」雁皮紙にペン、テンペラ、紬 P8
「雪の舟」雁皮紙にペン、テンペラ、紬 P8
「雉の間の蝶」 銅版画 20.5x15cm
「雉の間の蝶」 銅版画 20.5x15cm

「破れ障子」雁皮紙にペン、紬 F3
「破れ障子」雁皮紙にペン、紬 F3

齋藤 悠紀   Yuki Saito

’82 埼玉県出身

’08 東京造形大学大学院修了

 

近年の個展

’17 伊勢丹浦和、 東急百貨店たまプラーザ店

’16 伊勢丹新宿、 伊勢丹浦和、など

 

受賞

’09 ソウル市立美術館/韓国(企業買い上げ賞)

’07 東京都美術館(審査員特別賞)  町田国際版画美術館(収蔵賞)

’05  ポーランド、ルーマニアにて受賞

 

 パブリックコレクション

WillaGallery(ポーランド)、NapocaArtMuseum(ルーマニア)、東京造形大学図書館、うらわ美術館、町田国際版画美術館、国立台湾美術館(台湾)、MECCA DESIGN GROUP(韓国)、日本美術技術漫画博物館(ポーランド)