毛利元郎・鈴木ひろみ二人展 ノスタルジア @伊勢丹松戸店

期間 : 2014年 3月26日(水) ~ 4月1日(火)

 

時間 : 10:00 - 19:00 (最終日は16:00まで)

 

場所 : 伊勢丹松戸店 = 9F 美術画廊

 

二月に伊勢丹浦和店で個展を行った二人が、松戸店で二人展を開催します。

年齢も性別も技法も違う二人が、それぞれ想いを寄せる場所「心の故郷」を描きます。

 

Motoro Mohri// 毛利 元郎

毛利元郎 オルビエートの路地 油彩・板 35x25cm
毛利元郎 オルビエートの路地 油彩・板 35x25cm

1963年 東京生まれ。東京造形大学卒業後、イタリアのトリノとペルージャに在住して、絵の勉強をしました。帰国後は年数回のペースで発表(東京・鎌倉・横浜・茨城・福島など)しています。イタリアの建物や扉、教会や街並みを描いているが、ヨーロッパ特有の空気感や日差し影の描写が印象的な人気作家です。額は夫人による手作り。2007年からは毎年伊勢丹浦和店で展覧会を開催し、確固たるファンを増やしています。

 

 

2014年2月個展の様子 

2013年2月個展の様子

2012年2月個展の様子

作家プロフィール

 

毛利さんとの付き合いは、まだ毛利さんがギリギリ30代だった頃から約10年以上になりますが、彼の制作に寄せる真摯な思い、誰に対しても裏表のない誠実さは本当に変わりません。彼は二十代後半に2年弱ほどイタリア留学をしました。初めてイタリアの地に降り立った時に感じた“懐かしい”という感覚が忘れられず、そしてイタリアで経験した人間らしい生活に思いを寄せ続け、イタリアというモチーフを借りながら、人間にとって大切なものは時代を経ても変わらないということを描き続けています。

 

「1000年後に自分の名前が残らなくても、自分の作品が残っていてくれて、誰かの目に触れその人に希望を与えられたら、こんなにうれしいことはない」 震災前からそう語っていた毛利さんの夢は、いつか実現するかもしれません。   

ペルージャの日々 油彩・板 60x90cm
ペルージャの日々 油彩・板 60x90cm

Hiromi Suzuki // 鈴木 ひろみ

鈴木ひろみ nostalgia 木版画30x22.5cm
鈴木ひろみ nostalgia 木版画30x22.5cm

先日まで江戸東京博物館で開催されていた「大浮世絵展」を、ぜひ拝見したいと思い入口まで行ったものの、あまりの混みように退散してしまいました。しかしどうしても見たい気持ちが収まらず、巡回展示されている名古屋まで車で向かい、堪能して参りました。

 浮世絵で使われる絵の具は、主に水干絵具という、顔料を沈澱させて干したものが使われていました。もちろん保存状態と修復の効果なのでしょうが、会場の作品たちは、非常に美しい輝きを今も保っていました。そしてその構図や大胆な遊び心は時代を経た今をもってしても、新しく新鮮な驚きをもたらしてくれます。

 鈴木ひろみは、この浮世絵の技法をベースに作品を制作しています。木版を3-4版用いた多色刷り、絵具は伝統的な水干絵具を用いています。そしてその上に現代的な技法である凹版刷り(細く彫った線に油彩インクを詰めて、それをプレス機で刷り取る・・・いわば銅版画のような技法)を重ねています。その凹版刷りを施すことによって、時代という薄いベールをまとったような質感が現れます。

 そして彼女が選ぶ題材は、自分や兄弟の部屋、楽器、窓、地元菖蒲町の田園風景など・・・どこか懐かしい普遍的なものです。しかし普遍的でありながらも、その普遍性自体を、鑑賞者が改めて考え直すような作品を作り上げています。彼女は哲学の本を読むのが好きであり、その考えが作品に色濃く出ているのかもしれません。

 まだ27歳の鈴木ひろみが、これからどのようなテーマに着目し、活躍の幅を広げていくのか、見続けていけたらと思っております。

 

田園シリーズ March 木版画 21.5x21.5cm
田園シリーズ March 木版画 21.5x21.5cm